「勉強したこと・暗記したいことを、分かりやすく1冊のノートにまとめている!」
という受験生は多いのではないでしょうか。
「ノートをまとめれば内容が整理できるし、要点も一目見て分かりやすいから。」と。
しかし、ノートまとめはかけた労力・時間に対して見返りが少ない、つまり効率の悪い勉強法なのです。(効果が0とは言いません。)
今回の記事では、
- ノートまとめが非効率な理由
- ノートまとめに代わる勉強法
について解説します。
1.ノートまとめは「作業」
受験生がよく作成するまとめノートは、
- 教科書、参考書を書き写したノート
- 授業用ノートをきれいに書き直したノート
- 暗記事項をまとめたノート
です。
さて、これらのノートを作成するとき、あなたの頭はどれくらい働いていますか?
教科書を目で追うこと、教科書の重要な部分を探すこと、ノートをきれいに書くこと、オレンジペンで書きなおすこと……別の事柄に集中していませんか?
ノートを書き終えた後、どのくらい内容が頭に残っているでしょうか?
そもそも勉強というのは、インプットとアウトプットから成っています。
勉強におけるインプットとは、知識を蓄える行為のことです。
具体的には、授業を受けたり、参考書を読んだりして新たな知識を得て、理解し、暗記することをさします。
しかし、ノートをまとめるという行為自体に、このインプットとしての役割はあまり期待できません。
内容の理解や暗記に頭を使うことより、先ほど述べたような別の事柄に意識が向かっているためです。

だから、ノートまとめは「作業」になってしまいがちなのです。
私がお世話になった予備校の師は、「写経」と表現していました。
2.時間がかかる
ノートまとめは、純粋に時間がかかります。
ノートまとめをしたことがある人は、まとめに没頭していたら時間が経ってしまっていたという経験をしたことがあると思います。
受験生にとって、時間は宝です。
特に現役生は浪人生と比べると勉強できる時間が少ないのですから、試験に出る範囲が終わる時期を考えると時間を浪費するわけにはいきません。
したがって、いかに(時間的に)効率的に学習するかも、受験生にとっては大切なのです。
***
さて、話は変わりますが、インプットに大切なのは、触れる回数だと思っています。
エビングハウスの忘却曲線をご存じでしょうか。(下図 緑線■)
3つの無意味な音節を記憶し、時間経過ごとの節約率(覚えなおすのにかかった時間をどれだけ節約できたか)をグラフにしたものです。
たとえば、100分かけて覚えたことを1日後に再び覚えなおそうとしたら、67分かかるいうことです。(1日後の節約率は約33%)

これらの結果から分かることは、
- 1回目より2回目、2回目より3回目の学習の方が楽である
- 繰り返しの学習によって、定着量が増えていく(上図 赤線■)
- 時間が経つほど忘れていく
ことです。
繰り返し学習を行う人と、行わない人では定着率に差ができてしまいます。(上図 ★)
***
話を戻します。
まとめノートを作ったとします。では、作成にかかった時間で、教科書の該当箇所を何回読むことができるでしょうか。
おそらく4,5回は下らないでしょう。
加えて、前述の通りノートまとめは「作業」であり、学習効果は薄いのですから、内容を定着させることが難しくなっています。
ノートまとめに時間をかけるのではなく、繰り返し学習に時間をかけるようにしましょう。
3.達成感が得られてしまう
受験生がよくノートまとめをしてしまう理由としては、勿論「完成後のまとめノートが便利」が主ですが、「終わった後の達成感、勉強した感がある」も隠れた理由だと思います。
ノートまとめは時間もかかりますし、手元には(自称)分かりやすいノートが残るわけですから。
そして、この達成感とやらが厄介なのです。
達成感を胸に、「今日のこの教科の勉強は終わり」や、まとめノートを放置……なんてことも。

心当たりはありませんか?
時間をかけてつくったまとめノートを放置してしまっては、ただ時間を消費しただけになってしまいます。
代替案
そうはいっても、まとめノートがあると重要な部分や暗記事項がまとまっているから便利なんだ、という意見も理解できます。
そこでささやかながら代替案を提案させていただきます。
どれもノートまとめをやめた私がやっていた方法です。医学生になった今でも、試験勉強時に活用しています。(この勉強法で、大学の定期試験で何度も学年1位を取れています。)
<重要な部分をまとめたい!>
教科書や参考書には、色々な場所に散らばって重要事項が書いてあるため、いちいち探すのが面倒ですよね。そんなときは、付箋とマーカーがあれば解決です。重要な箇所にマーカーを引いて、そのページに付箋を貼る。重要度によって付箋の色を分類し、覚えたら付箋を外す。
昔からある初歩的な方法ですが、長く残ってきただけあって効率的な方法です。
<暗記事項をまとめたい!>
暗記事項だけをまとめた参考書はいくらでもあります。こういった便利なものは積極的に使っていきましょう。
さらに、あまりお金をかけたくない場合は、ネットで検索してみましょう。今どきネットで探せばいくらでも求めるものが見つかります。
(なお、ネットに関しては、参考書より正確性が劣るので、参考書の方をすすめます。)

私はネットで見つけた有機化学の反応系統図を使っていました。
<穴埋めを作りたい!(オレンジペン/赤シートの代用)>
マーカーを引いた文章を繰り返し読んだところで、それらはすべてインプットであり、アウトプットにはなりません。アウトプットとしてオレンジペンと赤シートを使う方法がありますが、自分で書く必要があります。
そんなときは、緑の暗記マーカー(と赤シート)あるいは赤の暗記マーカー(と緑シート)を使いましょう。オレンジペンと同様の学習法ができます。
マーカーを引いた後の見やすさの点から、赤マーカーと緑シートが一番のおススメです。
###
今回はノートまとめが無駄な理由を紹介しました。
もし、今ノートをまとめる勉強法を取っている方がいれば、参考にしてみてください。
そして、すでにまとめノートを作ってしまった方に。
そのまとめノートはあなたの大切な武器です。作ったことに満足してしまわずに、何度も見返して最大限活用しましょう。
コメント