医学部の入試の特徴に、隔年現象があります。
隔年現象をしっかり理解していないと、共通テスト後の医学部出願のときに非常に不利な選択をしてしまう可能性があります。
本記事では、
- 隔年現象とは
- 隔年現象の原因
- 具体例
- 例外
を解説します。
<特に読んでいただきたい方>
国公立大学医学部志望者
隔年現象とは
隔年現象とは、志願倍率が一年ごとに上下に大きく変動する現象のことをさします。
つまり、
ある年の倍率が高ければ、次の年の受験生は「倍率が高くて難しい大学」と考えて志願倍率が減少し
ある年の倍率が低ければ、次の年の受験生は「倍率が低くて入りやすい大学」と考えて志願倍率が増加します。
国公立大学医学部の受験では、この隔年現象における倍率の振れ幅が大きいことが特徴的です。
隔年現象が起こる原因
医学部受験において、隔年現象の振れ幅が大きいことの主な原因は、
- 共通テストの配点が大きい大学が多い
- 『医学部合格』を優先する受験生が多い
- 医学部人気
の3つです。
国公立大学医学部に合格するためには、難関大学では90%以上、比較的入りやすい大学でも85%前後の高い得点率が必要です。
また、共通テストの配点が全体の半分以上を占める大学も少なくありません。
このような大学では、共通テストでできてしまった差を2次試験で挽回することは非常に困難です。
さて、医学部を志望している受験生は、第一志望校を掲げていながらも、少なからず大学合格の先にある『医師として働く未来』を目標として見据えているのではないでしょうか。
たとえ第一志望校に合格できなくても、最低限医学部には合格すると考えている受験生も多いでしょう。

医学部に合格しなければ、どうやったって医師にはなれません。
ただ、どこの大学であろうと、医学部に合格さえすれば(基本的に)医師にはなれるのです。
したがって、共通テスト後には、少しでも『合格しやすい』大学を受験しようと、多くの受験生が志望校を変更します。
このとき、出願校決定の材料にするのが、前年度の志願倍率です。
前年度の倍率をみて、倍率の高い大学を避け、倍率の低い大学に志望者が集まります。
その結果、もともと倍率が高かった大学の志願者が減って倍率が下がり、倍率が低かった大学の倍率が増加します。
この動きが毎年繰り返され、かつ医学部人気が拍車をかけて振れ幅の大きな隔年現象が引き起こされているのです。

具体例

実際どれくらい倍率が変動するの?
隔年現象に従う大学
東北地方の国公立大学医学部を例に出しましょう。

水色の枠で囲った弘前大学、秋田大学、福島県立医科大学に注目してください。
毎年上下に大きく倍率が変動していることが分かるでしょう。
変動の振れ幅も大きいですね。
隔年現象に従わない大学

東北大学と、山形大学は倍率あまり変わらないけれど、理由があるのかな?
例1.東北大学
理由: 東北大学が2次試験重視大学だから
東北大学は、全得点に占める2次試験(個別学力試験)の点数の割合が79%と、2次重視大学です。
もし共通テストで失敗したとしても、2次試験で充分挽回できます。
そもそも東北大学は難関大学であり、2次力に自信のある受験生が志望しています。
共通テストの結果に関わらず、本来志望していた受験生がそのまま受験するので、毎年あまり受験層が変わらず倍率も変わらないようです。
<参考>
全配点に占める割合(%) | 共通テスト | 二次試験 |
弘前大学 | 67 | 33 |
秋田大学 | 58 | 42 |
山形大学 | 56 | 44 |
福島県立医科大学 | 50 | 50 |
例2.山形大学
理由: 山形大学医学部の2次試験には国語の筆記試験があるから
山形大学は、2次試験に国語の筆記試験が要求される珍しい大学です。(旧帝以外)
国語が得意な医学部志望生が集まりやすく、毎年受験層があまり変わりません。
隔年現象を利用する
以上、
- 医学部の倍率は(基本的に)隔年現象に従う
- 2次試験重視大学や、特殊な入試を行っている大学は隔年現象に従わない
ことが分かりました。
あなたが受けようと思っている大学は、隔年現象に従うのか否かを必ず確認しましょう。

秋田大学の2019→2020のように、「よっしゃ、倍率2.8で低い!」と思って出願したのに、ふたを開けてみれば倍率6.6と高すぎる、なんてことになったらショックですよね。
また、共通テスト後に出願校を決める際には、この隔年現象を最大限利用しましょう。
倍率の変動を見て、前年度の倍率が大幅に上がっている大学は特にねらい目です。
隔年現象を見極めて、医学部合格をつかみ取りましょう!!!
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