医学部に合格するためには、一番大切なことは勉強です。
しかし、医学部受験はその特殊性ゆえ、勉強以外にも戦略的に行わなければならないことが多々あります。
今回の記事では、医学部受験生が勉強以外にすべきことを紹介いたします。
<こんな人におすすめ!>
- 医学部志望の受験生
1.目標を設定する
①第一志望校
まず、第一志望校を決めなくてはいけません。
「そんなの当たり前じゃん!」と思われるでしょうか。
しかし、「医学部に入れさえすればどこでもいい!受験直前の自分の実力や、共通テストの結果で決める。」という医学部志望者が多いことも確かなのです。
たとえ、このような思いがあったとしても、第一志望校は必ず決めましょう。
理由は、大学によって
- 問題傾向
- 配点
が大きく異なるからです。
頻出分野は特に集中的に対策する必要がありますし、配点に合わせて各教科の勉強量も割り振らなくてはいけません。

多少偏差値が足りていないくらいならば、大学別の対策で充分対応可能です。
第一志望校を決めておくことで、実践的な勉強計画を立てることができます。
②「医学部合格」or「○○大学医学部合格」
医学部受験をするならば、
「医学部合格」を最優先とするか、「たとえ浪人しても○○大学医学部合格」を目指すか
をあらかじめ決めておかなくてはなりません。
ここでの決定は、
- 共通テスト後、国公立2次出願
- 第一志望に受からず、滑り止め大学医学部に合格した
ときの選択に大切になってきます。
つまり、
・共通テストの結果がとても良かった
→ 「医学部合格」を優先して、共通テストの配点が高く合格しやすい大学に出願する
・共通テストの結果が悪かった
→「医学部合格」を優先して志望校を下げる or 「○○大学医学部合格」を優先して第一志望校を受ける(浪人は覚悟の上)
第一志望校は不合格だったけど、滑り止め大学の医学部には合格できた
→「医学部入学」が優先なのでそのまま滑り止め大学に入学する or どうしても第一志望校に行きたいので、滑り止め大学を蹴ってもう1年頑張る
などの選択に関わります。
特に、共通テスト後から2次の出願大学を決めるまでの期間は短いため、悩んでいる時間はあまりありません。
(悩んでいる暇があったら2次試験対策をしたい!)
医学部を志望したときから決めておくと良いでしょう。
***
ただ、これら選択に関してどちらが良いということはありません。
第一志望校を諦めて大学のランクを下げても受かるという保証はありません。
共通テストの結果は絶望的だったのに、2次試験で逆転して合格した人もいます。
一方で実力があるにも関わらず、「どうしても京大の医学部がいい!」とこだわって5浪している人も知っています。

「自分は共通テスト失敗しないから大丈夫」!!!???
甘い!甘すぎます!予備校のクラスでトップを取っていた人たち(全国50位以下)ですら何人もセンター試験(当時)の結果で受験校を変更していました。
2.大学の情報収集
医学部の入試は情報戦です。
私は浪人時代、大手予備校の駿台に通っていました。駿台では多くの情報を集め、かなり綿密に分析をしていました。

私は後期合格なのですが、駿台の分析結果にかなりお世話になりました。
では、「予備校に通っていないから分からないよ」と言う人のために、最低限押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
(なお、予備校に通っている人は、予備校の先生の助言を参考にしましょう。)
理科の選択科目
医学部受験ではおおよそどの大学も理科2科目が必須となっていますが、なかでも物理・化学選択でしか受けられない大学があります。
生物選択の人、あるいは生物選択を考えている人は特に志望大学の選択科目を確認しておきましょう。
また、志望校には入っていなくても、共通テストの結果によっては受験する可能性のある大学があれば、その大学の理科科目についても要チェックです。
配点
受験校の配点と、配点の変更の有無は必ず確認しましょう。
自分の得意な科目の配点が高く、苦手な科目の配点が低い大学は、それだけで合格しやすくなりますよね。
さらに、配点が変更になると、受験者層が大きく変動します。
たとえば……
もともと英語の配点が低い大学には、理系科目が得意(かつ英語がやや苦手)な受験生が集まる傾向にあります。
しかし、配点が変更になって、英語の占める比重が高くなった場合、英語が苦手な受験生はこの大学を避け、逆に英語が得意な受験生が増えることは想像がつきますね。
科目の変更
基本的に前期の科目が変更になることは稀ですが、後期の科目が変更になることはよくあります。
特に、学力試験がなくなって、「小論文、面接のみ」に変更になる場合は志望者が増えることが多いです。
理由は、『たまたま普段の実力以上に共通テストの点数が取れちゃった勢』がこぞって受験してくるからです。
定員の変更
定員は、全体の定員、前期の定員、後期の定員、推薦の定員を確認する必要があります。
定員の変更があると、倍率の変動が読めなくなります。
たとえば、定員が減ると、一般的に志望者は減少します。しかし、志望者数が減ったことでリサーチの判定が良くなり、結果的に受験生が集中(=倍率増加)してしまうということもあります。
したがって、定員の変更があった大学の倍率は、「あてにならないことが多い」を念頭において志望校を選択する必要があります。
(リサーチとは受験生全体の共通テストの結果を集めて行われる合格判定のことです。リサーチ結果を見て最終的な受験校の決定をします。)
近年の倍率:隔年現象
医学部の倍率は、基本的に隔年現象が生じます。
つまり、前年度の倍率が高ければ志望者は減り、前年度の倍率が低ければ志望者は増加します。
自分は隔年現象においてどの年度にいるのか?
もし前年度の倍率が高ければ「ねらい目」の可能性が高いですし、前年度の倍率が低ければ出願は慎重になる必要があるでしょう。
3.過去問分析
過去問分析は、医学部志望でなくても大切なことです。
- 問題傾向
- 試験時間(余裕があるかどうか)
は要チェックです。
そして、過去問分析は必ず自分で行いましょう。
赤本にも問題の講評はありますが、問題が自分に合う合わない、時間が足りる足りないは自分にしか分かりません。
自分で過去問分析を行い、自分に足りない部分を自覚してその後の勉強計画に役立てましょう。
4.面接対策

医学部受験で避けて通れないのが面接です。
大学によっては圧迫面接をされるところもあり、泣かされる受験生も少なくありません。
あらかじめ想定されうる質問は書きだして、それに対する答えも用意しておくことが良いでしょう。
また、面接は「慣れ」の部分が多いと思っています。
いくら話すのが得意でも、受験会場ではやはり緊張します。
学校の先生、予備校の先生にお願いして3回ほど面接練習を行うと良いでしょう。

私も先生にお願いして面接練習を行いましたが、何回かすると想定外の質問に対しても詰まらずにスラスラと答えられるようになりました。
特に国公立大学より私立大学の方が面接が厳しい(圧迫ぎみ)と言われているので、私立医を受ける方は何度も練習が必要です。
5.医療系ニュースのチェック
少なくとも過去数年分の主な医療系ニュースはチェックしておきましょう。(余裕があれば理系ニュース全般のチェックも)
面接対策、小論文対策、英作文対策になります。
こればかりは知らないと答えようがないため、大まかな知識は頭に入れておく必要があります。
また、医療系のニュースを仕入れておくと、英語長文で有利になることがあります。
医学部の英語長文は、医療系・理系の話題が選ばれることが多く、内容を知っていると長文を読まなくとも答えが分かるということは少なくありません。
6.共通テスト結果別のシュミレーション
これは、1で述べた目標設定において、「医学部合格最優先」の国公立志望の受験生に大切なことです。
つまり、
共通テストで〇〇%取れたら第一志望の大学を受け、△△%~〇〇%ならこの大学、△△%以下ならこの大学…
をあらかじめ考えておく必要があります。(例↓)

判定や偏差値、共通テストの合格者ボーダーだけでなく、過去問分析の結果も踏まえて、
- 二次試験の学力に自信があるなら強気に
- 学力に心配があるならある程度余裕を持たせて
出願校を決めておきましょう。
この想定に合わせて過去問を解いておきます。
(過去問は第一志望は最低5年分、第二志望以下は最低3年分。現役生は12月までには1回、浪人生は夏に1回解き、同じ年度は最低3回は解きましょう。)
過去問を解いてどうしても相性の悪い大学は、第2志望以下から外すことを考えなくてはなりません。
このシュミレーションと、共通テストのリサーチ結果を踏まえて受験校を選びます。
*****
***
*
医師になるためには、必ず医学部に入らなければならない、という特殊性が医学部にはあります。
勉強以外にも戦略的に行動して、医学部合格を勝ち取りましょう。

コメント