こんにちは、医学生のみなとです。
私は、本当に漫画が大・大・大好きで、今までに読んだ漫画は数え切れません。(買った漫画も500冊は軽く超えています。)
そんな漫画大好き人間の私が、今までに読んだ中から、面白くて勉強になる医療系漫画を紹介します!
全員におすすめ!3作品
全員におススメする漫画は、
- 『ブラック・ジャック』 作者:手塚治虫
- 『最上の命医』 原作:入江謙三 作画:橋口たかし 医療監修:岩中督
- 『ブラックジャックによろしく』 作者:佐藤秀峰
の3作品です。
ブラック・ジャック
「神さまとやら!あなたは残酷だぞ
医者は人間の病気をなおして命を助ける!
その結果世界じゅうに人間がバクハツ的にふえ、食糧危機がきて何億人も飢えて死んでいく……
そいつがあなたのおぼしめしなら…………医者はなんのためにあるんだ!」(51話 ちぢむ!!)
主人公は、無免許医でありながら、神業的なテクニックをもち、世界中に名を知られているブラック・ジャック。
彼と彼に関わる人々の苦しみや生き方を通して、生と死、医療、自然……あらゆることを考えさせられる漫画です。
『ブラック・ジャック』は本当の本当のほんっとうにおすすめです。
一度は読んで欲しい!(医学生は履修必須にして欲しいくらい)
医学描写自体は、リアリティのあるものから、創作まで様々です。
大学で授業を受けていて、進研ゼミの漫画のように「あ、これ『ブラック・ジャック』で出てきたところだ!」となることは何度かありました。
ただ、私が『ブラック・ジャック』を読んで欲しいのは、単に勉強になるからではありません。
医師として求められる大切な”何か”を、この漫画を通して考えることができると思うからです。

特に好きな話は、「ときには真珠のように(27話)」、「ピノコ生きてる(28話)」、「二つの愛(44話)」、「アリの足(49話)」、「ふたりの黒い医者(51話)」、「ふたりのピノコ(61話)」、「シャチの詩(83話)」、「デカの心臓(103話)」、「笑い上戸(230話)」ですかね……
いや、全部好き
面白さ ★★★★★
勉強になる(医学的に)★★★
勉強になる(倫理面)★★★★
最上の命医
「命って奇跡なんだ。俺はその奇跡を守るこの仕事が大好きで……
その仕事をしている仲間も大好きで……
今だって最高に幸せなんだから。
俺はさ、生まれつき心臓に異常があって本来なら生まれてこられないはずだった。
医療って凄い。凄いんだよ。」
主人公である西条命は、0歳の頃に自分の命を救った神道護のような名医を目指していた。
命は、医療事故によって小児外科が廃止されてしまった平聖中央病院にて、小児外科を復活させ……
といった内容です。
こちらの作品、医学知識がなくても楽しめます。
また、専門家による監修が入っているので、医学を勉強した後に読むと内容が分かってさらに楽しめます。
一粒で二度おいしい作品です。
小児外科という、あまり題材になりにくい科に焦点を当てていることも興味深いですね。

あと西条先生めちゃかっこいい
2011年には斎藤工主演でドラマ化されています。
『最上の命医』は、『最上の明医 ~ザ・キング・オブ・ニート~』のスピンオフ作品です。
個人的には『最上の命医』のほうが好きですが、『最上の明医 ~ザ・キング・オブ・ニート~』も面白かったです。
面白さ ★★★★
勉強になる(医学的に)★★★★
ブラックジャックによろしく
「僕は医者だ……!」
主人公は、研修医の斎藤英二郎。
がんの告知、医療費の問題、延命治療、無給医、ダウン症の新生児の告知、医局制度……えとせとらえとせとら……
斎藤が研修にて各科をまわりながら、医療にまつわる様々な不条理と向き合い、葛藤し、成長していく作品です。
簡単に感想を述べるなら…………苦しい。
医師として命と向き合うことは、ここまで苦しいものなのかと胸が締め付けられるようでした。
よくある医療ドラマのように、凄腕医師がいるわけでも、苦難があるけど結局お涙頂戴ハッピーエンドでもなく……
ひたすらリアリティを追求したような作品です。

おそらく、この作品も実際の医療現場と乖離している部分も多いとは思いますが、大衆向けにきれいにまとまった作品よりよっぽど考えさせられる作品です。
かなり好みが分かれる漫画だとは思います。
面白さ ★★★★★
勉強になる(医学的に)★★★
勉強になる(倫理)★★★★
(補足)『ブラックジャックによろしく』は著作権フリーだとかなんだとかでネット上で無料公開されています。
診療科ごとにおススメ
- 病理 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』 原作:草水敏 作画:恵三朗
- 産婦人科 『コウノドリ』 作者:鈴ノ木ユウ
- 総合診療科 『19番目のカルテ 徳重晃の問診』 富士屋カツヒト
- 精神科 『Shrink 精神科医ヨワイ』 作者:月子 原作:七海仁
フラジャイル 病理医岸京一郎の所見 《病理》
「6割の分際で、今後は病理の診断書にケチをつけないでいただきたい。…………病理は10割出しますよ。」
さて、病理医とはどんな仕事をしているかご存じですか?
病理医は基本的に(患者の前にという意味で)表に出てくることはありません。
実際何をしているのかを知らない、あるいは病理医の存在自体知らない人もいるのではないでしょうか。
たとえば、癌の確定診断。組織型、悪性度の診断。
病理医によって行われるこれら病理診断によって、手術の可否や薬物が決定されます。
適切な治療のためには、病理医の診断が不可欠です。
そういった意味で縁の下の力持ち的な存在であるといえます。
そんな病理医を主人公とする漫画が『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』です。

『フラジャイル』は長瀬智也主演でドラマ化されています。
また、『フラジャイル』は、症例に対して詳しく説明してくれます。
楽しく病理の勉強をしたい人にちょうどよいと思います。
面白さ ★★★★
勉強になる(医学的)★★★★★
病理医志望にとって ★×100
コウノドリ 《産科》
「出産は病気でない。だから皆幸せなものだと思い込んでいる。
多くの妊娠出産を見れば見るほど思う。出産は奇跡なんだ。」
産婦人科医を目指す人は、絶対に『コウノドリ』読んだ方がいいです。
人工妊娠中絶、産後うつ、妊娠高血圧症候群、無脳症、梅毒、風疹…………
などなど、妊娠出産に関わる様々な問題に、産婦人科医の鴻鳥サクラが立ち向かっていくストーリーです。
新たな命の誕生、というキラキラした一面以外の妊娠出産のリアルな部分も描かれていて、勉強になります。

あと毎話泣ける。
個人的には、産婦人科の勉強と同時に読むのがおすすめです。
面白さ ★★★★★
勉強になる(医学的に) ★★★★★
勉強になる(倫理)★★★★
産婦人科医志望にとって ★∞
19番目のカルテ 徳重晃の問診 《総合診療科》
「僕が専門に選んだのは”臓器”じゃない。人間そのものだ。
総合診療医は”患者”を診るスペシャリスト…そう思っているよ」
総合診療医ってご存じですか?
(恥ずかしながら、私が総合診療医の存在を知ったのは医学生になってからです。)
現代日本の医療は、内科、小児科、皮膚科、精神科、外科…………の18の専門分野に分かれています。
高度に専門化された医療は多くの命を救ってきましたが、「専門ではない患者は診られない」という状況を作り出してしまいました。
そこで「特定の臓器を専門としない19番目の専門医」として、各科への「ゲートキーパー」の役割を担うのが総合診療医です。
ざっくり言うと、「なんでも診れるお医者さん」
医療を取り巻く様々な状況が変化する現代日本で、これからより重要性が増していく存在です。
さて、私の拙い説明ではあまり伝わっていないと思います。
もっと総合診療医について知るために、『19番目のカルテ 徳重晃の問診』を読んでみましょう。
面白さ ★★★★
勉強になる(医学的に)★★★★
Shrink 精神科医ヨワイ 《精神科》
「日本は隠れ精神病大国です。僕はこの国にもっともっと精神病患者が増えればいいと思っています。」
精神病患者は少ないけれど、自殺率は世界ワースト6位(先進国では最悪レベル)の隠れ精神病大国、それが日本。
というのも、精神科は「特別なところ」といった思いが、受診のハードルを上げてしまい、必要な人が精神科にたどり着いていないからです。
主人公である精神科医・弱井はそんな現状を憂い、
「僕と出会った人は一人も死なせない。絶対に。」
との思いを胸に、患者と向き合います。
面白さ ★★★★
勉強になる(医学的に) ★★★★
精神科医志望にとって ★★★★★
最後に
おすすめの医療系漫画を紹介させていただきました。
他に今まで読んだ中では、
- 『ゴッドハンド輝』 山本航暉
- 『麻酔科医ハナ』 なかお白亜、松本克平
- 『リエゾン こどものこころ診療所』 ヨンチャン、竹村優作
なども面白かったです。
現在、たくさんの医療系漫画が出版されています。
ぜひ、興味のある科の漫画があれば読んでみましょう。
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